思考法

システム思考の基礎

日々の生活において、あらゆる事象はシステムによるものと捉えることができます。現実の世界をシステムとして捉え、事象の原因は何かと考える、改善を試みる、今後の予測をする、それが「システム思考」です。 日々、顕在化する問題はシステムに原因を認めることができます。どのようにすれば問題を解決できるのか、システムに原因があるとするとそのシステム自体に働きかける必要があります。さもなくば、そのシステムの挙動により問題は再生産されるでしょう。 また、自身が身を置く、もしくは管理する組織をより有効に機能するようにするためには、その組織をシステムとして捉え直し、メタの視点でその挙動とそれを生み出す構造を再設計し、改善していくことが効果的です。 本稿では、システム思考の基礎となる概念、及び考え方を説明します。日々の生活においてシステム思考を応用し、対症療法ではなく、それを生み出すシステム自体を改善していくための一助になれば幸いです。
ビジネス論

プロジェクトスケジュールの基礎 – クリティカルチェーン

PMOとして、プロジェクトをコスト追加やスコープ縮小なく納期までに完了させた経験があります。当たり前のように聞こえますが、これが非常に困難です。ここで重要になるのがプロジェクトスケジュールの立て方です。プロジェクトスケジュールが非現実的もしくは非効果的なものであれば、どこかでそれが露呈し、歪みが生じることになります。プロジェクトスケジュールの立て方には様々な方法がありますが、ここではクリティカルチェーン[1]の方法論をベースに基本の考え方を整理していきましょう。前提として、ここではあくまでスケジュールの基礎となるクリティカルパスやクリティカルチェーンの考え方について整理します。プロジェクトに固有の制約条件や考慮事項などは別途検討する必要があります。
ビジネス論

会議設計フレームワーク – 設計レイヤーとリスク管理

現代のビジネスは会議で成り立っています。少なくとも必要条件です。会議の成否は事前設計により決まります。では、どのように会議設計をすべきでしょうか。 私は外資コンサル企業にてクライアントのビジネスにおいて必要となるプロジェクトを成功させるためのPMOを担当しています。日々会議の連続です。その中で、会議を成功させるための会議設計の方法論を自身の中で磨き上げています。今回は、私が実際に会議設計をする際に用いているフレームワークを紹介します。少しでも読者の方が会議設計を行う際の参考となれば幸いです。
思考法

「因果関係に基づき思考する」を理解する

私たちが何らかの結果を期待して行動する際、多くの場合は無意識的に因果関係に基づき原因から結果を逆算しています。どのように行動すれば期待する結果が得られるのかを認識する必要があるためです。ビジネスにおいても、何らかの施策を取る場合は得たい結果が先にあるはずです。現代人にとって「因果関係に基づき思考する」は必須の推論法であると言えます。 因果関係に基づく推論の精度が高いほど、最小限の行動で最大限の結果が得られるはずです。そのためには無意識的に行なっている思考の実態を理解する必要があります。思考の自己改善・自己制御のためには思考自体を理解し、メタ認知することが有効であるとされています。 ところで、機械学習の分野において「統計的因果推論」という学問が発展を遂げつつあります。人間が行なっている因果推論を数学的に記述する学問です。つまり人間の思考の言語化を試みています。学術的な詳細は専門書に任せますが、ここでは研究からの知見を逆輸入し、普段行っている思考をメタ認知することで、思考精度の向上を目指しましょう。
ビジネス論

ビジネスとアカデミアの違い – システム秩序の断絶

私は外資コンサル企業に勤めております。SaaS導入によるBPRの経験を経て、現在は運用部のPMOとして、案件推進や部内横断課題の解決推進を行なっております。ビジネスの最前線で奮闘しています。 また、修士(工学)を保有しています。専攻は情報工学です。AIを含め機械学習の生体計測応用を研究しておりました。自著論文の総被引用数は約90件。国際学会発表3件。国内学会発表5件(受賞1件)。アカデミアに心を燃やした時期がありました。(未だに未練があります。) ビジネスとアカデミア、両方にどっぷり使った経験から、それらの違いが少し見えてきたので記すことにします。両者の狭間で心揺らいでいる方への助けになれば幸いです。
思考法

科学の推論プロセス – 仮説推論→演繹法→帰納法

科学研究は一連の推論プロセスで推進されます。自分が行なっている研究が現在どのプロセスにあり、どのような推論をすべきかを意識すべきだと思っています。 私が大学院にて研究を行っていた際、「そもそも研究とはどうあるべきなのか」に強い関心があり調査したものです。このプロセスを意識することにより、推論の厳密性(正しさを求めるべきか)と拡張性(敢えて論理を飛躍させて新規性を目指すのか)のトレードオフのバランスが取れるようになったと実感しました。 今回説明する推論プロセスは科学の最大のテーマである因果関係を解明するためのものです。以下、各プロセスについて詳述していきます。